今日はネマからトンブクトウまで行き、またネマへと戻るループ状のスペシャルステージ。距離も360kmとこれまでに比べれば短めだ。本来はティシットからトンブクトゥまでのステージの予定だったが、昨年23日にマリ国内の治安の問題のため、このようなループのルート設定となった。
これに伴い、明日17日のStage11はキャンセルとなっており、リエゾンのみ。従って今日を抜ければ、ごく短いステージをもつ最終日を除けばあと3回のスペシャルステージを残すのみとなった。
細かいパウダー状の砂……フェシフェシの多い今日のルートは、広い大地のなかに刻まれたピストを辿るもの。ピストは曲がりくねっており、またギャップも激しいのでマシンの破損には気を遣うルートだ。周囲には灌木も生えており、狭いところではクルマをヒットする可能性もある。
「うん、やったね。いやー今日はプッシュしたんだよ。スタートして60kmくらいのところでシャボーに追いついたから、猛烈にプッシュして抜いたんだ。ホコリがひどいから、前にいられると走りにくいっていうのもあったんだけど、前に出て飛ばして、シャボーにプレッシャーをかけるのも狙いだったんだ。その狙いがバッチリうまくいって、フィニッシュについたら後ろにはもうシャボーはいなかった。まったく気づいてなかったんだけどね。やったね。って感じだよ。シャボーは僕との間に入ったもう1台を抜こうとしてクラッシュしたらしい。
「彼とはUAEで一緒に走ったことがあるし、そのとき僕に負けたことも覚えているだろうから焦ったんだと思う。僕のスピードを知っているからね。彼は僕より2分先にスタートしたんだけど、60km地点で抜いたからこのままいくと360kmで12分、僕に負けてしまうことになる。昨日の時点でトップの彼と僕との差は17分だったから、これをなるべく維持しようとがんばりすぎたのではないかな。結果的に作戦通りに走れたわけで、それがうれしいね。」
「昨日、なんだか勝てるような気がしていたんだ。その通りになって本当に嬉しいよ。明日はリエゾンだけだしね。今日はトラブルもなかったし……、あ、ミラーを木にぶつけて壊してしまったけど、パンクや下回りのヒットなどはなかったからね。決してランクル向きのコースではなかったんだけど、なぜかうまく走れたね。今日で2位のストゥルゴとは1時間近い差がついたし、このままいける感じはしている。ストゥルゴは同じ市販車無改造クラスだけどガソリン車でカテゴリーが違うから、万が一彼には抜かれてもクラストップはキープできる。だから無理しないで、確実に走るつもりだよ。いやー、しかし今回は本当にドラマチックな展開だね。この先はもうドラマチックな展開はいらないけど」。
ダカールラリーのフィニッシュを間近に、久々に三橋の声には彼らしい明るい……はしゃいですらいるような元気さが戻ってきた。万が一、この先にトラブルがあったとしても、ここまで着実に焦ることなく順位を上げてきた彼の資質には高い評価がなされるはずだ。二輪時代から含めて7回目の挑戦となる今回、三橋は希望に満ち、充実した気分でダカールへとクルマを走らせている。
■Stage10順位42位 総合23位(日本時間1/17 11:15)
■市販車無改造グループ1位
■Stage10タイム 04:44:00
■総合トップとの差
12:09:16
|