前半をグループ1位、総合21位、そしてチーム内1位と素晴らしい成績で終え、アタールでのつかの間の休みに入っている三橋淳。しかし、この現在の順位が砂上の楼閣であり、ワンミスでひっくり返ってしまうものであることは、彼もこの7年間の経験で痛切に感じている。
それだけに、周囲からの賞賛の声は嬉しいものの、喜んでもいられないというのが本音のようだ。彼にとって嬉しく感じられるのは「自分の作戦どおりに走れた」こと。着実に走って、相手がミスするところでミスせず、クルマを壊さないように走る。それを守ってきちんと順位を上げてきた三橋は、今回のダカールで一皮むけたような気がする。
そんなアタールでの休日は、チームが持参しているピットバイクでキャンプ地を散策したり、このホームページでのチャットを楽しむなど充実したものとなった。多くの部外者は、キャンプ地というと全参加者が近くに集まっている、というイメージをもつようだが、ダカールラリーは違う。とにかくキャンプ地が広く、また四輪のキャンプと二輪のキャンプ地が離れていることも多く、ほかの日本人勢を見つけるのにも苦労するほど。
今回はピットバイクがあったのでバイクのキャンプまで行ってみたが、桐島ローランドにはプレスセンターで会えたものの、亀田、大橋の各二輪選手とは会えなかったようだ。
「昨日、僕のクルマは全バラに近い状態だったんだけど、今日にはもうほとんどメンテナンスを終えて組み上がっていた。メカニックに呼ばれて、クルマの下側を見せられて、僕がぶつけたらしいところを指摘された。で、『もうきちんと直してあるからキミは何も心配しなくていい。故障は俺たちが直すから、後半も思いっきり走ってくれ』と言われて感激したね。今回のチームは本当に凄い。走ることだけに完全に専念できる」。
「明日からの2日間はとても難しいステージ。さっきもうコマ地図をもらってきたんだけど、砂も岩も多い、非常にハードな内容だと思う。ここで勝負が決まると言ってもいいんじゃないかな。そうそう、明日はオンボードカメラを積んで走るんだ。日本のテレビ向けにね。僕とナビの会話も映ると思うよ。基本はほとんど無言だけどね(笑)」。
「チャットは、本当にたくさんの人が来てくれて嬉しかった。今回はパソコンの準備がなくて、チームにお願いして知人のものを無理言って貸してもらったんだ。だから、最後尻切れトンボみたいになってちょっと申し訳なかったけど、でもすごく楽しかった。みなさんの応援は本当にありがたいです。後半もがんばります」。
明日はアタールからティシットへと至る625kmのステージ。そのうちスペシャルステージはそのほとんどとなる589km。前半は土、次に砂利、そして砂丘とサンドがあり、最後にはキャメルグラス(砂漠に草のふくらみが埋め尽くされている非常に走りづらい路面)となる。相当にタフなステージとなるはずだ。一昨年の2005年、篠塚健次郎選手がクラッシュ、ヘリで運ばれたズエラ〜ティシット間のステージで、三橋は総合16位から12位に順位を上げている。その際も苦労したようだが順位を上げたことのあるステージだけに期待もしたいところだ。
とはいえ、今年三橋が乗るのは市販車無改造のランクル。ドライバーの腕にまかせて走るとクルマが壊れてしまうのは目に見えている。しかしゆっくり走っていれば、後ろに迫る選手に負けてしまう。難しい勝負だが、今年の三橋であればきっと着実に乗り切るだろう。
■三橋と後続の差(同グループ)
名前 |
現在のタイム(総合) |
差 |
三橋 |
06:48:06 |
00:00:00 |
シャボー(TOYOTA) |
07:07:26 |
00:19:20 |
ラテ(TOYOTA) |
07:07:26 |
00:27:05 |
ベルモンド(NISSAN) |
07:17:12 |
00:29:06 |
ストゥルゴ(NISSAN) |
07:25:23 |
0:37:17 |
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Rest Day
LINK
2005 Dakar Rally
Stage 7 Zuerat-Tichit レポート |