20歳を迎える前。まだ10代だった頃は、夢を語るのが大嫌いだった。
自分は何になりたいのか?
どういう道を歩むのか?
全然イメージ出来なかった。
それでも大人たちは、夢を持てと連呼する。
正直うるさかった。
数年、歳が上の先輩方は
「JUNの夢はなんだ? オレは・・・」
としたり顔で語りかけてくるのもうっとうしかった。
やりたい事はあるし、やってみたい事はもちろんあったけれども、
でも実際どうやったらいいか分からないし、そもそも出来る見込みがない。
大学入っていい成績出して、いい会社に入って・・・
そういう方法論で通じる世界なら、もちろんチャレンジするけれど、
どうやっていいか分からないんだから、目指しようがないじゃないか。
よく子供に夢を、なんて言うけれど、子供が夢を見るのは簡単だ。
見て感じればいい。
それだけ。そんなに難しい事じゃない。
でもその簡単な事ですら、日本のモータースポーツシーンでは、大変だ。
だから、今年1年、国内でいろんな形ではあるけれど、ラリーカーを走らせる事が出来てよかったと思う。
本当にチーム及び関係各位にはお世話になりました。
そしてありがとうございました!
イベントをたまたま見たお母さんが、息子の描いた絵をメールで送ってくれました。
こういうのを見るとやっぱり嬉しいよね。
ダカールラリーは日本で行われているモータースポーツではないけれど、
でも日本人が、日本のメーカーが参加していて、日本の人々の目に触れない。
そういう状況を打破したかった。でもそんなの大層な事じゃない。当たり前の事だ。
一番、大事なのは、子供たちが感じてくれた夢を見続ける事が出来るようにする事。
自分も頑張れば、努力すれば、ああなれるんだ。
そういう希望を持つ事が出来る事。
今の日本に必要なのは、希望を持てる社会にするってことだ。
先日F1ドライバーの小林可夢偉選手が、2013年のシートを失ったというニュースがあった。
彼を夢見て、レースをしようと思った子供たちの希望がなくなるんじゃないかと心配だ。
だって、彼はF1に乗るにふさわしい実力を持っている。そういうドライバーが乗る事が出来ない世界に誰が希望を見いだすだろう?
オレだって、三菱がダカールラリーから撤退したときに、やめようと思った。
だって、どんなに頑張ってもダカールラリーで総合優勝にチャレンジする事が、出来なくなったと感じたからだ。
日本人だから海外の世界でやっていくのは難しい、とう言い訳をしたくはないが、
でも相当有名で、チャンピオン経験者でもない限り、海外のチームに入る事は難しい。
だから、そういうポジションに着くまでは、各国それぞれが、自分の国の選手をバックアップする。
そういうビジネスモデルが確立出来ている。
だからF1の関係者はなんで日本は小林可夢偉選手をサポートしないのか? 不思議でならないと思う。
オレだって「JUNはどうしてトップカテゴリーに乗らないんだ?」
って現場で言われる事が多い。
でも諦めない。
だって、今日本人でダカールラリーに参戦しているのは、4輪部門ではオレだけだから。
オレが諦めたら、本当に消えてしまう。
そういう覚悟で、次のダカールラリーに望みます。
今は日本でモータースポーツが若者に理解を得られないと嘆く前に、
昔、あれだけバイクや車に乗っていた、”当時の若者”が、
今どうしてモータースポーツに関心がないのか?
そっちを問題にすべきじゃないのかな。
だって、子供たちに夢と希望を与えるのは、オレたち大人の役目なんだから。
夢を見ろといいながら、希望を与えないのは、卑怯じゃないか!
昨日は日本今日は南米の地球の裏側、距離と時差を乗り越えての戦いの始まり!