昨日仙台の現地にガソリンを持って行きたい! と鼻息荒く電話して来た知人Aがいた。
この惨状を見て、現地に電話したら、どうしても届けたくなったと言うのだ。
「ドラム缶3つを手に入れたし、行きましょう!」
それはいいけれど、どうやって燃料調達する? ドラム缶3つというと、600リットルだ。それだけの燃料を入手する事なんて、関東では不可能。
「新潟までいけば燃料補給できますよ!」
「それだけの資金も集まりそうです!」
もう行く気マンだ。彼はとってもいい人なので、自分が出来る事をやりたいと思っての熱意なのはわかる。
けれども、実は先日、オレもちょっとした輸送の手伝いをしたのだが(といっても中継地点までの輸送)、個人での支援なんて、焼け石に水。運べる量もたかが知れているし、集めた救援物資の仕分け作業だけでもかなりの労力だし、中身もしっかり把握できていないまま送ってしまうと、向こうと欲しい物が噛み合なかったりするし、なかには使い古しの物も混じってたりする。だったら、資金と物資を集中して、大型トラックで運んだ方が効率的だなって、自分で実際やってみてそう思った。自分で荷物を運んでおきながらなんだが、運ぶために使った燃料を考えれば、ほとんど意味はなかったんじゃないかなって思った。
とはいえ、友人が困っていて、今すぐ欲しいっていうなら、その友人を助けるという面では、意味がある行為だとは思うので、非効率かも知れないが、やる価値はあると思ったし、彼の周りでも盛り上がっているので、その思いを届けると言うことも、意味があるかなと思って、準備をし始めた。
なんて事をやっていると、届け先であった家と連絡に再度連絡をとれて、すでに向こうでも燃料を確保したから、無理して送らなくていいという答えだった。届け先が無くなってしまったのだ。
そこで、同じ仙台にオレの友人が同じく被災地にいるので、電話してみることにした。
実は地震の後電話するのは初めてなのだ。なぜなら、そもそも回線が込み合っていたし、つながったらつながったで、もうひっきりなしにいろんなところから電話がかかって来ていて邪魔になるばかり。それは、ウチに福島から避難して来た友人を見ていればよくわかる。もう電話なりっぱなしだもの。これはもうほとんど迷惑に近い。
で、初めて電話したら、
「今荷下ろし中なんで!」
といってすぐに切られてしまった。ほらやっぱり。忙しくて電話どころじゃないよな。
と思ったら、しばらくしてから電話をかけ直してくれた
「忙しかったら無理して電話しなくていいから」
「いや、今は大丈夫、とりあえず落ち着いたから」
「ガソリン大量に手に入るかも知れないんだけど、いる?」
「いらない。もう結構あるし、物資も集まって来てるし、物資どころかゴミのような微妙な物まで集まって来てるから」
「そうか、じゃあ、個人的に必要な物あるかい?」
「今のところ、ない」
短いかい会話だったけど、彼も必要ないと言う事だった。
もう1人、岩手で活動している山田周生というカメラマンがいたので連絡をとってみた。
「周生さんガソリンいります?」
「あ〜あればあったで助かるかなぁ。それよりも靴が欲しい! みんなサンダルとかで逃げて来てるから、辛そうなんだ。服とかはいっぱい集まってくるんだけど」
靴かぁ、今から靴を集めたって、早々すぐには集まらない。これはちょっと一旦仕切り直しかな? という空気が流れ始めるなか、Aは別のところから違う話を持ち込んで来た。
「燃料が手に入りそうですよ。知り合いのところで確保できそうなので、それを福島市に持って行ってほしいって」
福島市???
「出来れば、新潟経由で、そこに大量の支援物資があるので、それも持って行ってほしいって」
話を聞けば、先日オレが物資運びを手伝ったところじゃないか。つまり、集めるだけ集めたはいいが、新潟の倉庫に溜まって全然被災地に届いていないってことだ。ということは、オレが手伝った荷物だって、おそらく新潟の倉庫に溜まっているだけなんだろうな、というのが大いに予想できる。つまり、オレ自身大量の燃料を消費して、無駄な事をしたって事だ。
おそらく救援を合い言葉に呼びかけた物の、全国各地から物が大量に集まって、しかも支援ロジックなんてまったく考えずに行動しているから、物が溜まる一方。とにかく別の営業所にまわしたいっていうところなのだろう。
ということは、それはもはや被災者への支援じゃなくて、完全に別の話になってる。
また情報を集めていたら、実際に被災地で活動して来たメンバーから電話がかかって来た
「ガソリン? いらないでしょう。今東北道をものすごい数のタンクローリーが走っているから、今更持ってく必要ないよ」
それでも納得しないので、その担当者と、実際に福島から逃げて来たオレの友人が話をすることにした。
「もうね、全然だめ。その物資をどこに、誰が、どのように配るのか教えてくれって言っても、まったく答えられないんだ。それどころか、そんなのあんたに教える必要はない!だってさ」
というわけで、Aさんには申し訳ないが、お断りすることにした。
福島市も被害はあったと思うし、今でも放射能の危機にさらされている場所ではあるけれど、避難所が指定されている場所でもあるので、そこでには政府の物資が届けられている。だから、福島市を拠点に、甚大な被害があった同じ福島の南相馬や、原町、いわきなどの被災者に届けるロジックが確立されているなら、届けに行く意味はある。けれども、新潟にすでにそうして貯められてしまったものが、福島市に移動したとして、その物資が必要とされる人々に届けられる保証がない。だから、そのロジックさえ確認できればよかったが、彼らは答えられなかった。だから断ることにした。
どこの誰に届くかも分からない支援はできない。
それに、今回久しぶりに電話をした、仙台の友人の言葉が、一番分かりやすいと思う。
「支援するなら募金してよ」
被災地を助けたいという思いはみんな同じ。だったらそれが正しく有効に相手に伝わる方法をとろう!
ここでも告知している
SAVE JAPANでもいいし
赤十字の義援金でもいい
それでもどうしても体を動かしたいと言う人に、お勧めのボランティアがこれ!
伊勢谷友介が進めているボランティア活動!
彼自身が呼びかけて物資を集めているのだが、その仕分け作業をするボランティアだ。
全国各地から善意で送られてくる荷物は、
箱のサイズもバラバラ。
中身も千差万別
使えない物まである
など、収集がつかないはず。これを仕分けして送り届けるのは、とっても素敵なボランティアだ。ぜひ駆けつけてほしい!
今回は自戒の意味も込めて書きました。
前回の「不謹慎なのか」に続いて、さすが冒険レーサーと、その冷静で簡潔な意見に感心。
「いまできること」が、実は、“安心のため”たと自分の行動を見ていてつくづく思っていました。
「いまできること」の中から、「いましないこと」を見極めて、相手にも、そして自分にも役に立つことを、みんなが探してほしいですね。
今回も、ありがとうございますm(_ _)m。
自戒を十分受け止めました!
個人的に支援したいと云う人に警鐘を鳴らしておくれ!
勝手にオイラのブログからリンク貼りしてもらったからね(^O^)/
間違わないでほしいのは、個人的に支援にいきたいと思っている人を非難している訳じゃないんです。今すぐ欲しい! という被災者はいっぱいいると思うのです。そういったところに届くロジックを組むのが大事で、荷物を運ぶのはそれが出来てから。そうでないと、ただ闇雲に荷物を移動させるだけになってしまう。今では個人的な支援を受け付けている自治体も増えたと聞きますが、それでもいきなり避難所に届けに行っても、拒否される可能性だってありますからね。だから、今現在も被災者に荷物を届けている人たちには、本当にすごいと思うのです。
福島市の実家、それに仲間から状況が入ってきています。確かにガソリンがないようですが、その他の食料や生活用品は揃い始めました。灯油は入り始めました。ガソリンも数日である程度はいきわたりそうな気配です。ボランティアをしている仲間の話では、かなりの物が揃っていて仕分けが追いつかないというのと要望と入荷した物がマッチしないのが現状なようで、それも近いうちに改善していくと思います。
相馬市にも仲間がいてボランティアをしていますが、救援物資を仕分けして配達する人が少ないのが問題なようです。福島市と異なりガソリンはあるのに生活雑貨や食料の流通が少ないそうです。ガソリンがあるので皆、近くの町まで買出しに行っているようです。ピンポイント情報ですが、災害当初と比べれば改善しつつあります。
これから必要なのはシステム作りのような気がします。福島市、相馬市でもたくさんの地元の人が動いてます。後方支援と現地が上手く動くまでは時間がかかりますが、少しづつ良くなっていくでしょう。
その後Aさんは大量の燃料を無事に被災者に配り届けたそうです。手伝う事は出来なかったけど、オレの時のように無駄足にならなくてよかった! 彼の行動力は本当にすごいと思います。ご報告まで。